みんみん

 仕事帰りにコンビニへ、と思ったら、中華料理屋が目に入り、なんとなく惹かれて中に入る。誰かが言っていた、おいしい中華屋とは、ここかもしれない、と思う。いかにも、という朱色のカウンターに座る。おかみさんの声は明るい。主人は(日本の)中華の職人、という雰囲気。道場六三郎さんに似ていた。
 みそラーメンと餃子を注文する。
 みそラーメンは、目の前に置かれた時は、スープの量が多く、麺や具の量は少ない、というように見えたけれど、スープの量が、とても多かっただけで、中身は多かった。器が大きかった。素朴な味噌の味がした。飽きずに幾らでも飲んでしまった。餃子は、にんにくの苦味が目立つ、小ぶりなサイズのものだった。最初は酢で食べ、後半は餃子用のたれで食べた。ラーメンはかなりの量だったけれど、食べ終わってもまだ何か物足りない気分になり、杏露酒と春巻を頼む。
 春巻は外はさくさくしていて、中身は熱々、それなりに杏露酒と合った。
 おいしい、という気分に浸っていた。いい休息をした、と感じた。自分の気分に浸れるのは、その時の自分の感覚を自分でとても気に入っていて、好きになっているからだった。元気が出る、というのは、そういうことなのかもしれない、と思った。