「桜は、もう咲いていますかね」 「まだ早いんじゃないですか。また寒くなったので、開花も止まったんじゃないですかね」 仕事帰りの道をそんな風に話していたら、電車の広告で、夙川公園が紹介されているのを目にした。自分の最寄の駅から、三つ行ったとこ…

「スポーツは、何かやっていましたか？」 「テニスをやっていました」 「テニスか。そうやな、この仕事はテニスで言ったら、フォアハンドばかり打ち続けるようなものやな」 そう聞いたとき、同じ所に球が来て、同じように打ちかえすイメージが浮かんだ。今は…

「これ誰作ったんや、Sさんやないやろ」 「これは、Tさんです」 「そうか、Tさんか。センスはあるのにな。もったいないな」 「……」 「きれいにバランスよく入ってるな」 「そうですね」 「もったいないな。今は何してるんやろな」 その人が、過去のことでは…

「フランスパンは、このような店では絶対おいしいものが焼けないから、これはうちのオリジナルで、すべてTくんが考えてくれたものなんです」 「これ、とてもおいしいですよ」 「今日は雨だから、あの有名な某お店も空いていると思ったんですけど、買えなかっ…

悪寒が走るようなことを言うから、私のことおかんと呼んでいいよ、といわれる。 突っ込みたいことはいっぱいあったが、笑ってしまった。そのシャレって、使える機会少ないな、ということと、そんなこと言っている場合か、ということと、いい意味で、もうどう…

結婚していない理由を考えておいた方がいいよ、といわれる。 もう今は、共同生活が嫌なわけでもない。貧乏を受け入れることは、ほとんどの場合プライバシーを失うことにもなります。心の中に独房を見つけることの必要性、とあった。この人はちゃんと話せる人…

正直言って、仕事をしているとき、祈り続けている。正直言って、もしくは心の中で歌っている。とてつもなく酷いことを想像してみて我に返ると、なんでもない気がする。心の中で、ぐさぐさに刺されることとか、大事な人が亡くなることを想像してみて我に返る…