2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

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岡本さんに近付いて、話しかけられないで立っていると、 「決まりましたか」 とキャンバスから目を離して、少し疲れたような苦い笑顔で、岡本さんは言った。少しあって、僕が首を横に振ると、 「途中でもいいですから、また描けたら見せてくださいね。ぼくは…

全く分からないということ

実際にあったことではない文章を書けそうな雰囲気を持っているな、と思えるときは、口からはうまく言葉が出てこない。その逆のときもある。あちらを立てればこちらが立たず、捨てる神あれば拾う神あり、という感じがする。 目を瞑ったときに、ごちゃごちゃと…

悲しみいたむこと

貪(とん)は好ましい対象へのこだわり、瞋(じん)は不快な対象へのこだわり、とあって、毒とされていますが、悲しむことを、毒と書かれているのは、読んだことはありません。 怒りを捨てろ、というのは、それに意味がない、誰にも利益がない、ということに…

浮かぶ瀬もあれ

何に、ということを抜きにして、誰だって信仰心を持っている。信仰心というのは、何かを丸呑みにして受け入れること。根拠のないことを信じるということ。信仰をもつ、ということは、自分の丸呑みにするものを決めること。無意識だけではなく、意識的に丸呑…