2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『袋小路の男』と『センセイの鞄』

どちらも以前にも、読んだことがあった。昨年一年間、友人の短い小説以外は、小説を読んでいず、今年の正月に久しぶりに買った本が『袋小路の男』で、読み終わってすぐ『センセイの鞄』を買った。 どちらも女性の目線で、一人の男性のことを書いている。どち…

淡路にて

小説の話。それが、とても自然な事のよう。 皆落ち着いているし、温かい雰囲気。 知識とか、都会のにおいも感じる。 繊細で、整っていて、人間味もある。そういう様子を見ていて、やはり自分は、荒削りで野暮だけど何か大きくて変なものを作ってみたい、とい…

あるランナー(大阪国際女子マラソン)

彼女の走りは、柔らかくて危うい。調子の悪い時は、ぐらぐらと揺れているようにみえる。形があるわけではないから、だんだんと同じ形のままスピードを落として萎んでいくのではない。ぽっきりと折れてしまうわけでもない。ぐらぐらと揺れながら、迷いも選択…

デザインについて感じたこと

ある時は、清く、潔く。明確な一つの意図を示すように。神様に好かれるように。 ある時は、きらびやかに、華やかに。色っぽく、女性に好かれるように。 ある時は、質感、物感を大事に。石を一つ一つ置いていくように。職人、仕事人に好かれるように。 ある時…

「お昼は皆と一緒に食べよう。それから家の中も案内するから」と公夫さんは、診療所を出てしばらくしてから言った。手は繋がずに、来た道を歩いて戻っていった。坂を下り、アスレチックが見える丘の側を通り、木々の中の、土の道に入っていった。 石の階段の…

リピーター

仕事帰りにみんみんへ。 今日は、カレーチャーハンを注文する。 前回来た時は、ラーメンと小チャーハンのセットを頼んだ。 それで次の日の朝、胃もたれをしたので、今日はやめようと思った。 ただ、温かい物を飲みたい気もしたので、物足りないかも、と思っ…

また手をつないで、山道を歩いていった。時々すれ違う人は、「おはようございます」と笑顔であいさつをしてくれた。最初の内は、あいさつをする人もいれば、しない人もいるんだと思い、あいさつをするのをためらっていたが、皆あいさつをしてくれたし、公夫…

みんみん

仕事帰りにコンビニへ、と思ったら、中華料理屋が目に入り、なんとなく惹かれて中に入る。誰かが言っていた、おいしい中華屋とは、ここかもしれない、と思う。いかにも、という朱色のカウンターに座る。おかみさんの声は明るい。主人は(日本の)中華の職人…

受け入れること、受け入れないこと

そろそろソフト路線はやめた方がええんちゃうか、と言われる。仕事上でのことだった。確かに、心ない人がいる。でも、全く心がないわけでもない。なんとかしたい、という欲もでるが、限界はある。それに、余裕がなくなれば、自分の心がなくなってしまう。自…

少しだけ片付け

部屋の中の物の配置など、少しだけ整理。 床置きは散らかりの中心になってしまう、と本で読んだので、とりあえず棚にしまったり、何かの上に載せたりする。そのあとに配置を換えて整理する。それを少しずつやっていったら、今年の後半にはとても整った部屋に…

新年会のあと

会社の先輩たちと、仕事終わりにお酒を飲みにいく。場所はいつもの居酒屋。いつもよく話す先輩が、やはりよく話していたけれど、いつもと様子が少し違った。 いつもは自分で自分にはっぱをかけるように激しい様子だけれど、今日は安心している様子で落ち着い…

黄緑色の茎や、濃い緑色の縮れた葉や、生成り色の平べったい丸いものが、うどんの上に載っていた。重たい陶器の器は、じんわりと温まっていた。 「いただきます」 プラスチックの箸を僕に渡して、公夫さんはすぐにうどんを啜り始めた。急かされるような音が…

優しい言葉を集める

何度か会ったことがあるのだが、声も顔も思い出せない人から、何度も手紙をもらう事になった。書かれているのは、彼女の近況と、僕に対する呼びかけだった。近況は、主に彼女の感情、怒りや寂しさだった。実際何があったか、書いてあることは珍しく、書いて…

再び万年筆

万年筆を買った。これで二度目になる。こんどこそ失くさないようにしよう。 原稿用紙も買った。 もう一度形から入ってみようと思った。 自分を取り巻く環境が、文章を書くことを促すようだったとき、形から入る必要も感じなかったし、むしろ形に入らないこと…