品を捨てる

 底辺を知らない、と爽やかに言われた後、僕が思ったことは、ある種の上品さを捨てる、ということだった。体裁なんて保たなくてもいい、手段なんて選ばなくてもいい、そんな豪気さがあった方がいいんじゃないか。
 宗教的な、偉大な存在を思うとき、危険なのは、その存在が綺麗だと思うことだ、そんな風に想像してはいけない、とある仏教の言葉にあるけれど、実を取るということを見失わず、表面的な美しさに惑わされず、実の心地良さを選べたら理想だけれど、そんなに頑張らなくてもいい。別に僕はそんなに上品な人間ではないのだし、そんなに正常でもないのだ。