同人

 一昨日の春分の日に、同人誌の編集作業があった。普段は校正をして、デザイナに訂正作業をしてもらったりするけれど、この日は反対だった。InDesignを触るのは、久しぶりで、手探りでやり方を思い出していった。デザイナは毎日これより遥かに大変(写真も入れないといけないし、レイアウトもいっぱい考えないといけない)なことをやっているのか、と思って、改めて少しデザイナの大変さが分かった気がした。

 小説というのは、幾らそこから離れているように見えるものでも、センチメンタルなものかな、と思った。それは誰かの声で、誰かの記憶なのだし、幾ら現在進行形だったり、外面描写だけだったり、論理ばかりであったりしても、なんにしても、それは書かれたものである限り、記憶という思い入れから生まれたものであるから、それは恋心のようなものになるんじゃないか、だから小説になるんじゃないか、と思った。

 同人という集まりは、はたから見たら、どんなものか、と思う。知り合いに、ある政党の活動をしている、という話を聞いたとき、少しうさんくさい印象を持った。僕がその政党に対していい印象を持っていなかったからだけれど、よく考えてみると、僕はその政党のことを、何も知らないといってよかった。でも、やっぱり第一印象は悪かった。同人誌や、小説をやっている、ということも、そのようなことになる可能性は、やっぱりあるんだろう、と思うから、偏見を持たず、その知り合いの場合、政党は関係なく、その人がどういう気持ちでどういう活動をしているか、ということだけ見るようにしよう、と思った。その政党がどういうものかというのは、それに参加している一人一人を見ていくしかないのだし、政党は作ることが目的ではないのだ。と、誰かも似たようなことを言っていた気がする。