面接の断片

「スポーツは、何かやっていましたか?」
「テニスをやっていました」
「テニスか。そうやな、この仕事はテニスで言ったら、フォアハンドばかり打ち続けるようなものやな」
 そう聞いたとき、同じ所に球が来て、同じように打ちかえすイメージが浮かんだ。今は、走り回って、色んな打ち方で、バックに来たのを回り込んで打つこともあるだろう。
「野球はストライクに来るボールを選んで打つ。テニスは自分の足を使ってボールをストライクにするスポーツや」と学生時代に何回か聞いた。(ボールってどっちのボール? ややこしいな)
「とにかく、働きたいんです」
 そう聞いて、その人は苦笑いした。苦笑いというのはつまり、おいおい、そんなこと言うなよ、ということだろう(すみません)。