悲しみいたむこと

 貪(とん)は好ましい対象へのこだわり、瞋(じん)は不快な対象へのこだわり、とあって、毒とされていますが、悲しむことを、毒と書かれているのは、読んだことはありません。

 怒りを捨てろ、というのは、それに意味がない、誰にも利益がない、ということに尽きると思います。怒っている人にそう言うと、火に油を注ぐことになるのが、普通かもしれませんが、僕は、自分が怒っている時に、誰かに温かくそう言われれば、その人が年上であろうと年下であろうと、とても嬉しいと思います。あの時、誰かにそう言われたかった、と思いますから、僕も、個人的な付き合いをしている人には、勇気をもって、そう言うべきだと思います。

 小川国夫さんの追悼文、を書きあぐねています。それは、辛うじて、僕が文章を書くことを必要とされている、唯一のことだと思いますので、一糸、捧げたいという気持ちです。