仕事の流儀

 会社の上司が、紙面のレイアウトのことで、怒っていた。この割付の意図が全然分かっていない、と言い、解説もしながら、レイアウトを全てやり直した。見比べると、やはり違う。限られたスペース、決められた文字と写真を使って、デザインをする。不自由な条件を活用して、自由さを発揮した結果そのレイアウトが生まれたように見せる。
 この人の背中を見ながら、どうしてこの人は、こんなにも厳格に仕事に取り組めるのか、と考えていた。
 誇り、という言葉が思い浮かぶ。この人は、今より休みも多く、給料も多い環境を辞めて、この世界にやってきた。この人を見ていると、正解のないことに正解があると決めて生きる強さを手に入れたい、と思わされる。こんなにも正解から遠い場所では、正解は自分で心に決めるしかない、と思わされる。