そば屋

近所のそば屋に、久しぶりに行った。誰かが訪ねてきたら、案内したいと思える場所だったけれど、誰かと行ったことはなかった。木造の建築で、梁や柱は整えられた木材ではなく、曲線や歪みが多く残る木をそのまま使っていて、旧日本家屋の雰囲気があった。真ん中の大きなテーブルにはいつも、でっかい生け花があって、行く度に違うものになっている。
一緒に行った人は、会う度に髪型が変わっている気がした。本当のことを話すたびに、聞かれていると感じた。頑なに柔軟なのか、柔軟に頑ななのか、どちらだろう、と少し思った。厳しさの部分には、女性的なものを感じた。そんなことどうでもいい、と他の人に言われるような僅かな違いも、聞き取ってもらえるような感じがした。僕もそのようでありたい、と思った。
僕は天丼とうどんのセットを頼んだ。一緒に行った人は、鉄火丼とざるそばと茶碗蒸しのセットを頼んでいた。
うどんは、甘みよりもかつおの辛味がほんの少し勝っている、ほとんど透明な、上品な味だった。