発散4

夜にテニスをすると、目がついていかず、カンで打っているような感じになった、たとえ相手が誰であっても、負けることにはやはり悔しいという気持ちがあるが、勝ちたいかと言われれば、うん、とは素直には言えない、誰かと比べたいわけじゃない、比べたら、いくらでも上もいるし、そんなことは関係がない、でももっと良くなりたい、成功することは素晴らしいことだが、より良くなろうとすることは、もっと素晴らしいことだ、とテニスの伝説の選手も言っているし、人生にはテニスよりも素晴らしいことがある、とその人に言われると、みんなうなずくしかない、その人は結婚をして、子供ができたとき、少し調子が悪くなったけれど、それはとても人間らしいことで、家庭に力を注いだからだろうし、記録を作るために僕はテニスをしているわけではない、と前人未踏の記録をいっぱい作っている人に言われると、黙ってうなずくしかないし、僕はやっぱり自分がより良くなっているかどうか、ということと、みんなが楽しくなりますように、ということを考えて、勝とうが負けようができる限り考えないようにしたいけれど、時々激しい自分が出てきて、とても攻撃的になってしまうこともあるが、それがまったくないというのも問題である気がしてきたし、男に生まれたのだから、そういうことを鍛える必要があるという気もし、実際そういう攻撃的な気持ちになった後で少し明るくなるということもあるわけで、

私たちは、いつも喜びを心に抱いている必要があります。喜びと謙虚さは両立できるからです。

とその人も言っているように、本当は攻撃的ではなく、積極的でありたい。消極的ではなく、謙虚でありたい。試行錯誤しながら、ちょうどその真ん中でいられるようになりたい。テニスをしている上で一番必要なことは、相手を称えることであって、相手を打ち負かすことではないけれど、全力を出す必要もあって、悔しくて当然であって、でも勝って喜びすぎることも楽しくない。