休む場所
言葉は、植物のようだ。自然に触れていると、内から湧き上ってくる。触れていないと、枯れてしまって、言葉もなくなってしまう。ゆったりとした時間も必要だ。眠る時間も必要だ。水と、土と、太陽と、肥料も必要かもしれない。それが何の比喩かは、色んな余地があります。
港は休む場所であり、出発する場所でもある。僕にとってはバス乗り場です。空港の人も、駅のホームの人も、いるでしょう。
僕には、誇りを教えてくれる人はいたが、愛情は学びそこねたのかもしれない。いまだに刀にとても惹かれてしまう。激しく厳しく残酷な自分がいることに気付く。それは弱さだ。振り返ってみて、こんなにも弱い人間が、よくここまで生きてきたものだ、と驚いてしまう。助けられて、許されて、なんとか生きてきたのだときづく。感謝が足りない、と心で言うと、まともに頭が働く気がする。
校正と小説でやっていく、と今の仕事に着く前に決心したのだ。それで空しくなることがあるとすれば、どちらかを疎かにしてしまっているのだ。
- 作者: 小川国夫
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 1989/05
- メディア: 単行本
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