プリンスカップと、纏まらないこと

昨日は、高校生の時に以来になる、テニスの試合に出た。かねてから約束していた人と、ミックスダブルス(男女混合ダブルス)に出た。ラケットはいつも使っているものではなく、その大会主催のメーカーのもの(prince)を使用しなければいけなくて、僕もその人も、そのことで手をこまねいていた。でも、もしいつものラケットを使っていたとしても、きっと勝てなかっただろうと思うくらい、対戦した人たちはとても上手だった。ボレーを思った所に、空いている所に打つ技術が明らかに僕たちより上だった。試合はとても、緊張感がある。1ポイント1ポイントに、手ごたえがあるし、悔しさがあるし、喜びがある。もっとうまくなりたいなぁと思うし、本気で勝とうと思ってテニスができる気持ち良さがあった。普段の相手だと、そこまでむきになってやることは正直難しいけれど、それは正直、僕は少しもどかしいと思っているけれど、でもバランスが大事で、和やかに打つのも好きだし、むきになって必死に勝とうとするのも好きだ。場合によっては、受け入れることが必要なときがあるし、受け入れないことが必要なときもあるのだ。


僕はすぐに理由を考えてしまう。それで、元気がなくなってしまうときもある。誰のため、とか、自分のため、とか、考えるが、色んな誰のためが積み重なって、自分のためなのだ。

なぜ喜んでいるのか、ということを、考えるのはやめよう、もう他の人を基準にすることは、充分やったし、意味がないのだ。

あの人のように、と思うことには意味があるかもしれないが、しばられすぎないようにしないと、向き不向きもあるのだ。喜んでいる、ということは、自分が発揮されている、ということなのだ。


朝の10時にJR尼崎駅の南口のロータリーで待ち合わせだった。30分前に着いて、誰もいないと思っていたが、改札口に、彼の姿を見た。彼に聞くと、9時から来ていた、と言う。二人で階段を降りていき、ロータリーの前に行った。コンビニのある場所を彼に教えてもらい、彼は待ち合わせ場所で待ち、僕はコンビニに買い物に行った。バナナ2本分のエネルギー、と書いてあるゼリー状の飲料と、ハムとタマゴのミックスサンドと、500mlの水と、1Lのお茶を買った。ゼリー状の飲料を飲みながら、待ち合わせ場所に向かった。彼と、その前に停まった車と、彼女の姿が見えた。近づいていくと、彼はこちらに気付き、彼女は車に乗った。彼は緊張した面持ちで、緊張する、と言っていた。彼女は少しだけ車を前に動かし、降りてきた。彼女ははりきって、絶えず少し体を動かしていた。他の人を待っていて、彼女は少しもてましたのか、走ってきます、と言って、駅の周りを回るために走っていった。しばらくして、いつの間にか女性が来て、ほとんど同時に僕らのリーダーの男性も歩いてきた。ロータリーの中心辺りに車が停まり、僕のパートナーの女性が降りてきた。この一年で、体がどんどんと締まっていって、髪も短く切って、アスリートのようになっていた。走っていた女性が帰ってきて、二つの車に分かれて、会場に向かうことになった。僕と後から来た女性二人と、走っていた女性と1時間前から来ていた彼とリーダーの男性で、分かれて乗った。後から車を出すことになって、道わかるかな、と僕のパートナーの女性は言った。僕は助手席に座っていて、リーダーの男性のパートナーの女性は後ろに座っていた。窓は運転席側も助手席側も空いていて、風が強く吹き込んで、ぼぼゎぼゎ、と鳴っていた。風を浴びるのが好き、と運転しているパートナーの女性は言った。この風大丈夫かな、難しそう、外での試合って大変だよね、ラケットも違うし、というようなことを、舌と唇を細かく動かして繋げるように、ちゃ、という音を絶えず少し出しているような話し方で、後ろにいる女性は言った。
「あれ、どの辺やったかな」
「……」
「川越えたっけ、かな」
車を道路の脇に寄せて、カーナビを操作していた。僕は携帯電話で、これから行く場所のホームページを検索して、そこに載っていた住所をカーナビに入力し、目的地に設定した。
 川を越えて、川沿いの所にあるテニスクラブに着いた。駐車場に車をとめる時に、もう一方の車を運転していた女性から電話があった。もう着きましたか、と言われて、今駐車場です、と答えた。時間を見たら、エントリーの締切の時間まで、あと5分だった。車から降りて、すぐそこにクラブハウスがあったが、受付の場所ではないようだった。僕は電話をくれて女性に、こちらから電話して、場所を教えてもらった。クラブハウスとは反対側にもコートがあり、その前で受付をしていることが分かった。僕の早歩きに付き合って、二人も急いで付いてきた。リーダーの男性が手を挙げるのが見えた。