空気のそんな感じ

空気のちょっとした動きで、その動きには名前はないけれど、その感覚は、ある店のある時に似ていて、急にその日本家屋のお店のことを思い出した。同い年の女性と、昼食を食べて、お茶を飲んで、5、6時間話をしていた。僕の話、というよりも話し方は分かりにくく、どちらにも取れるような言い方になってしまっていることも多く、また、間違った方向に受け取られて僕がそういう意見を持っているという風に誤解されたまま話が進んでも、訂正しないことが多いので、自分のせいだがもやもやすることも多かったけれど、その女性はなぜか、というのも変だけれど、僕の話をいつも正確に聞ける人だった。僕は話がうまくなったような気分になり(気のせいだけれど)、驚くほどほっとして、喋っても妙な疲れを感じずに、単に体の疲れしか感じずに、めったにないことだが、もっと話をしたい、という気分になった。僕は流れるように、というよりは、しっかりと固めるように進みたいタイプだけれど、それでうっとうしがられたり、流されたりすることが多く、まあみんなかちっとなんてしたくないのだろうけど、その人は僕以上にしっかりと進みたい人で、そういう意味では、僕は遠慮をしないでいいどころか、かちっとすることに関しては、滅多にないことだが、少し背伸びをしないといけないくらいだった。
 その人と話した日の夜には、色とりどりの夢を見た。その人はきっといつも、そんな夢を見ているのだろうと思った。