「はるのあるべき」郄城青(『アフリカ』第11号)


『彼らは普段ひとの死とこんなに近くで向き合う仕事をしているわけではないのだと思う。』



べき、という言葉自体が嫌いではない、と作品中に書かれています。その証拠に、この作品のタイトルは、『はるのあるべき』です。決めつけるような言葉が、明るい言葉になるときは、誰かのことを思って、その人を切らずにその人の鎖を切るような鋭さになるとき、かもしれないと思いました。そのためには、事前に言葉を尽くしたり、行動を尽くしたりする必要があります。この作品の作者は、自分の考えていることを語ることを、自分の価値観を語ることになるのを慎重に避けて、言葉を自分の感情に少し体重を預けて語ったり、生の情報、現実に預けて語っています。その上で、ぱっと、少しだけ言い切ります。思い切りよく、というよりも、迷ったり、ちゃんと考えて準備した上で。その言葉は怒りでもありますが、変えたいという意思であり、変えたくないという意思であり、希望なのです。


この作品名のように、余韻のある、べき、は、なりけり、のような使われ方で、ゆとりのある響き、含みは、ゆとりのある、遊びのある心から生まれるし、それは本当の意味で、真剣であるということだと思いました。



ご興味のある方は『アフリカ企画』まで。
http://sites.google.com/site/africannightpart2/