「ゴゥワの実る庭(二)」中村広子(『アフリカ』第11号)

次から次へ、とめどなく、という感じで、巻き込まれる。ずっとあわただしく、情報の波の中で、がしゃがしゃしている。周りががしゃがしゃしているから、静けさとしての自分が浮き彫りになる。自分の意思や、生命が浮き彫りになる。


臨機応変に、一瞬一瞬反応することを要求される時間、過去のことも未来のことも関係ない時間。慌ただしいようでいて、落ち着かないようでいて、そのことに救われる時間。


ふくれあがったトゥクパを食べる、ということが、作者になんとなく似合う気がした。
少し苦い出来事を、時々は少し苦い笑いで、すっと(力強く)受け止めることが似合う人、という印象があった。



切符を手に入れるときは、少し不器用に、でも臨機応変に行動し続けていた。でも一方では、見るときには、大変な出来事も、冷静に見る心があった。バラナシに滞在していた時のことを語るとき、ガヤでの祈りのことを語る時、静かに聞く心、見る心、祈る心があった。




『アフリカ企画』
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