「白魚のような手には程遠いけど」辻絵里(『アフリカ』第11号)


手から、返事が返ってこない、というのは、ほっとします。変な言い方をすれば、それは責任感から来ていると思った。何かのせいにしない人である気がした。かといって自虐的な感じもしないのは、自然で素敵だと思った。


不安と緊張、ということが背景のテーマにあるのに、文章がリラックスしているのが不思議な感じもした。自然体というのは始めからはあっても途中でなくすもので、それを再び取り戻すのは、意識的になる必要があるような気がするけど、やっぱり始めからずっとあって、一度も失っていなくて、それを表現することが難しい、ということで、そのための努力をした人が、自然体に見える、ということであるような気もしました。


本当はそのこと自体は緊張感の強い出来事でも、ぐいぐい、とか、わなわな、と言われると、なんとなくほっとします。


個人的には、体温の高そうな女性をいいなと思う。声の低い人もほっとするので、いいなと思う。




『アフリカ企画』
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